T.R.Harihara Sharma(1904〜1981)


現代カルナータカ音楽界の最重要人物のひとり。彼は、ムリダンガム二大流派のうちの一つ、Thanjavur流派の創始者、Thanjore Vaidyanatha Iyer、及びSangeeta Vidwan(声楽や作曲における熟達者、名人)Thanjore K.Ponniah Pillaiらから学んだ、優秀なムリダンガム奏者であった。しかし1937年、不運な事故により自身の指に怪我を負い、ムリダンガムの演奏を諦めざるを得ないこととなる。そこで彼はモールシンを手にし、マドラス(現チェンナイ)のマリーナ・ビーチで過酷な修行を重ねたのであった。後にモールシン奏者としてAll India Radioのアーティストという名誉ある職に就いたものの(注)、彼は特に音楽の教師としての類まれなる才能を発揮することとなった。1958年、マドラスに私立音楽学校SRI JAYA GANESH TALA VADYA VIDYALAYAを開設。グラミー賞受賞者であり伝説的フュージョングループSHAKTIのオリジナルメンバー、実子T.H.VIKKU VINAYAKRAM、現代ムリダンガム界の最高峰のひとりKaraikudi R.Maniをはじめ、彼の教え子で一流となったミュージシャンは枚挙にいとまがない。
   
                      
           Thanjore Vaidyanatha Iyer    Thanjore K.Ponniah Pillai   


               
            T.H.Vinayakram,T.R.Harihara Sharma & T.R.Mahalingam

(注)彼がモールシン奏者に転向した当時、権威あるインド国営放送All India Radioでは収録にあたり、ハルモニウム(ふいご式卓上オルガン)とモールシンの古典音楽への使用を、適当でないとして認めていなかった。
ある日、往年の名フルート奏者T.R.Mahalingam(1926-1986・あまりにユニークな言動から、多くの逸話が伝わっている)が、収録の直前になって「Harihara Sharmaのモールシンを入れる」と言い出し、聞かなくなった。スタッフが局の方針を伝え説得するが、「一度ラジオの電波に乗せてしまえば、誰もがモールシンを認めざるを得なくなるはずだ」と食い下がる。結局、その録音は放送されず幻のものとなってしまったが、この一件がモールシンの地位向上に大きく関わったことは、歴然たる事実である。

                        

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by      Koichi Takehara <MORSING player>       Disciple of PADMASHRI T.H.VIKKU VINAYAKRAM